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グロースをデザインするひと

ヨアン・ブルジョワ 「Scala –夢幻階段」

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GW初日に、どうしても観てみたい公演があったので静岡まで行ってきました。

festival-shizuoka.jp

ジャンルとしては「コンテンポラリーサーカス」かな。
こんな雰囲気の作品。


『Scala –夢幻階段』 Scala(ふじのくに⇄せかい演劇祭2019)

サーカスとダンスの間の子みたいな。


私は昔からサーカスは好きで。
でも、いわゆるシルクヌーヴォー(Cirque Nouveau、ヌーヴォーシルク、新しいサーカス)と言われるものが特に大好きで。

シルクヌーヴォーの定義は難しいですが、英語版でWikipediaには

the blending of traditional circus arts with contemporary aesthetic sensibilities and theatrical techniques

Contemporary circus - Wikipedia

と書いてありますね。
伝統的なサーカス芸術と現代的​​な美的感覚および演劇的技術との融合

シルク・ドゥ・ソレイユもシルクヌーヴォー。

日本ではあまり有名ではないですが、パリをはじめヨーロッパの方ではジャンルとして築かれていて様々なカンパニーがいたり。
んで、たまーに日本での公演してくれるカンパニーがあったりすると観に行ったりしています。


今作品の前に直近で観たものはこちら。

Cirkus Cirkör - Limits trailer

ブログに感想を残してなかったのが悔やまれるのですが、こんな感じの作品でした。

先に挙げたシルク・ドゥ・ソレイユもこのサーカス・シルクールも、私の印象としては「サーカスの技にテーマを載せる」というものです。


しかし、今回のヨアン・ブルジョワの作品を見て私が感じたのはその逆で「テーマを表現するためにサーカスの技を使う」というものでした。

サーカスを観ている、というよりはコンテンポラリーダンスの作品を観ているときの気持ちに近い。

しかし、これはサーカスではないとは言えず、ダンサーにはなし得ない身体表現だったし舞台ギミックだったなと。


私は映画でも「現実と空想の区別がつかなくなる」系の作品が好きですが、今作では生の舞台でそれを見せられました。

時間のループや並行世界による現実感の喪失を、CGでも映像技術でもなく「身体表現」のみで実現しているのは本当に凄い。
かなりのSF感。


今作品の感想を一言で言うなれば「日本SF大賞にノミネートされてほしい」に尽きますね。


ちなみに、これを最後に持ってくるのもなんですが、ヨアン・ブルジョワの代表作。

Tony Whitfield's video of Yoann Bourgeois' performance at Panthéon video

数年前にネットでバズってたので彼の名前を知らずともこの作品を観たことがある人は多いのでは。

ちなみにヨアン・ブルジョワはサーカス出身者としては初めてフランスの国立振付センターの芸術監督を勤めているらしい。すご。