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グロースをデザインするひと

「グロースをデザインする」という考え方

business growth

グッドパッチにおいて、私は「シニアグロースデザイナー」という肩書で業務をおこなっています。

この「グロースデザイナー」というあまり聞き慣れない肩書を名乗りはじめて一年近く立ついま、表題のとおり「グロース」を「デザイン」することについてあらためて考えなおしてみたいと思います。

と言っても、下記もろもろは株式会社グッドパッチとしての考え方ではなく、あくまでも私自身の考え方なので悪しからず。

社内でグロースの担当になった経緯

そもそもの話として、私は「フロントエンドデベロッパー」としてグッドパッチにジョインしました。

そんな私がなぜいまグロースの担当者となっているのでしょうか?

結論から言うと「前職のソーシャルゲーム運用で培ったスキルを活かしている」というだけです。

その昔、グッドパッチに来る依頼はサービスの新規開発のお話が多く、逆に言うとリリースされればそれで終わり、というものがほとんどでした。
しかし、サービスをリリースした後もいっしょに改善を続けてほしいというクライアントが徐々に増えはじめたとき、まわりのメンバーが意外とそれに慣れていないことに気づきました。

前職で培った「サービスを利用しているユーザを解析して、その数値を見ながら改善していく」というスキルはソーシャルゲーム以外の一般のウェブサービスやアプリでも使える普遍的なものです。
いつの間にか、そこで得たノウハウを使い様々なプロジェクトに口をだすようになっていました。

どんなに素晴らしいサービスも、実際にユーザに使ってもらわなければなんの意味もありません。

「良いサービスを作り出すためにはグロースを考えることが必要」ということを社内に広めるためにも自分がグロース担当になることを決めました。

グロースハッカーじゃないの?

その際に、役職としてなんと名乗るかは迷いました。

一般的には「グロースハッカー」という言葉がメジャーですが、私がなぜかその言葉にしっくりきてなかったからです。

その「しっくりこない」理由は、株式会社VASILYの金山さんと梶谷さんによって書かれたこの本を読んで気づきました。

この本の中で、グロースハックとは「製品の中に自発的に成長する仕組みを組み込んで、その結果をデータで判断し改善していくこと」と書かれています。

「ハック」の意味は広いものですが「うまくやる」「仕組み化する」ということがそれに含まれることを考えると、この本の中でのグロースハックの意味は全く間違っていないとは思っています。

しかし、自分がやりたいことが「製品の中に仕組みを組み込む」だとはあまり考えられませんでした。

あくまでも、自分がやりたいこと/やっていることは「グロース」という切り口でサービスを「デザイン」することでした。

デザインとは?

ここで言う「デザイン」はビジュアルデザインだけの話ではありません。

大学時代に受けたデザインの授業で聞いた話のなかで印象に残っている図があります。

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『課題』を『解決』することこそが『デザイン』である」という話です。

本来のデザインが持つべき価値は「課題を解決」することです。
その広義での「デザイン」を「グロース」という課題のもとおこなう、ということがグロースデザインだと考えています。

ユーザの行動をデザインする

では、グロースをデザインする上で、再優先で考えなければいけないことはなんでしょうか?

端的に言うと、それは「ユーザの行動をデザインする」ことだと私は考えています。

これは、元グッドパッチで現Supershipの藤井幹大さんが考えるデザインについてスライドです。

この話のなかで、次のような図がでてきます。
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私がグッドパッチに入社して間もないころ、朝会で藤井さんがこの図を見せて、全員に「デザインにとって一番大事なのはこの中でどれか?」という質問をされました。

結論としては「どれも大事でしかし人によってどれを重視するかは違う。その中でみんなで協力しながら良いものを作っていこう」というものでしたが、社内の全員が「モノ」「ユーザの体験」を重視する中、「ユーザの行動」を重視すると回答したのが私一人だったのはいまだに強く印象に残っています。

ユーザの行動をいかにコントロールするか?

それこそがグロースデザイナーが考えるべきことで得意であるべきことだと私は考えます。

フルティガーの言葉

少し話は横道にそれますが、私が好きなデザインに関する名言の1つにこのようなものがあります。

『スープを飲んだ後、その時に使った「スプーン」の形がありありと思い出せるようだったら、そのスプーンの形が悪かったということだ』

Frutigerフォントを作ったアドリアン・フルティガーの言葉です。

UXの話をするときにもこの言葉はよくでてきますが、つまりは「美味しいスープを味わってもらう」ことが目的なのに、本来はUIとしての「スプーン」が強く印象に残っているようではその目的を損なってしまう、ということを上手く示しています。

また、山道をドライブしたことがある方は下り坂でえらくガタガタした道路を走った記憶があると思います。

あれも、私が大好きなデザインの1つです。

あのガタガタのおかげでスピードを出せないわけですが、きっと「スピードを落とせ!」や「事故多発中!」と書かれた看板よりも効果的にその目的を達成しているのではないでしょうか。
トイレの「キレイに使っていただいてありがとうございます」みたいなのもそうですね。

課題を解決するという目的を達成できるのであればその手段としてのデザインは人に意識されないものでも良い、ということは私がユーザの行動をコントロールするときに常に頭に入れておいてあることです。

「いかにコンバージョンを上げるか?」「いかに継続率を上げるか?」という際に考えるべきことは「いかにユーザにコンバージョンしてもらうか?」「いかにユーザに明日も使ってもらうか?」ということに他なりません。

ユーザの「快感」を考えることの重要性

極端な話ですし、私が享楽的に生きているせいもあるかもしれませんが「人間は自分の快感のためにしか動かない」と私は考えています。

コンバージョン率を上げるときでも継続率を上げるときでも、もしユーザが「コンバージョン」「継続」しないのであれば、それ以上に優先度が高いことがそのユーザには存在しているからしないということです。
その行動することで快感を得られることはない、とユーザが考えているということです。

そのあたりの話については先日書いた記事に詳しいので興味ある方はこちらをどうぞ。

migi.hatenablog.com


ユーザの「快感」を考え抜き、自分の思うようにユーザを「誘導」すること。

私にとって「グロースをデザインする」ことは「ユーザの快感をデザインする」こととほぼ同義です。

グロース担当の仕事とは

最近読んだ海外の記事でこのようなものがありました。
hbr.org
企業のなかでのグロースマネージャーの働き方についてこのようなことが書いてあります。

They work cross-functionally with engineering, design, analytics, product management, operations, and marketing to design and execute growth initiatives.

ざっくり言うと「いろいろできなくちゃダメよ」とう話ですが、いろいろな職種を経験してきた器用貧乏な自分にとっては、もしかしたらこれは天職なのかも知れません。

おわりに

どんなに素晴らしいサービスでもユーザにそれを使ってもらえなければ意味はありません。
まったくありません。

ユーザの行動をしっかりと考え、解析し、それを基に改善を繰り返すことでサービスをグロースさせていけるような「グロースデザイナー」として、今後も精進していきたいと思います。