『蹂躙エピトマイザ』沙村広明×森馨展覧会
漫画家*1の沙村広明さんと人形作家の森馨さんがコラボした展覧会が銀座のヴァニラ画廊で開かれていたので行ってきました。
沙村広明×森馨展覧会 『蹂躙史エピトマイザ』―ある幻想の娼館―
産門が腹部にある、少女の姿をした地球外生物…微妙にわかりづらいかも知れませんが、つまりは人間の普通の女性器(外性器→膣→子宮)に加えて、子宮→臍のすぐ下の穴まで産道が伸びている地球外生命体のお話。それ以外はまったくもって地球人と同じ身体。(どうでも良いけど男性器も機能分化が進んでて、排尿器と生殖器が別に存在するって設定だそうな。どうでも良いけど。)
その設定から、漫画家・沙村広明と人形作家・森馨が紡ぎだす、とある未来のとある娼館の物語。
哀憐の美の極北に立つ二人の作家のコラボレーションがヴァニラ画廊で展開されます。
そんな地球外生物が地球人からの侵攻を受けて敗戦し蹂躙される様をテーマにした展覧会。
さて、もうおわかりでしょうがその穴が犯されまくるわけで。
沙村さんの鉛筆画が14点と森さんの人形が5点と、作品の点数は決して多くないですが、充分な内容。充分に満足できる内容でした。お腹いっぱい。作品中の少女達もある意味お腹いっぱい。
佐村さんの作品の半分はその穴を犯され酷い事になってる少女の姿が、もう半分は敗戦後にその地球外生物を集めて作られた娼館での少女の姿が描かれてます。
そこにあるのは「可愛い」でも「綺麗」でもなく清濁混じり合った「美しさ」。沙村さんの画力とともにその表現力に圧倒されます。
ということで沙村さんの責め絵画集である『人でなしの恋』にハマった人には完全にオススメの展覧会。ハズレ無し。話の内容でいくと同じく沙村さんの漫画『ブラッドハーレーの馬車』が好きであればこちらも絶対にオススメできるかと。
実際、数ある沙村さんの作品の中からその2冊がピックアップされて会場で売ってあったりw
- 作者: 沙村広明
- 出版社/メーカー: 一水社
- 発売日: 2006/12/21
- メディア: コミック
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- 作者: 沙村広明
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2007/12/18
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また、森さんの人形も沙村さんの鉛筆画に負けず劣らず「美しい」ものばかりでした。
森さんの作品はこれまで写真でしか観たことがなく生は初めてでしたが、その持ち味である人形の「表情」には本当に魅せられます。当たり前ですが写真で観てきた以上に。
森さんの作る人形はどれもまるで何かの表情から何の表情に移り変わる途中のような顔をしており、そこに固定された意志を感じることができず、観ているこちらの感情を妙に揺さぶってきます。ずっと観ていても飽きず、人形の中に自分の意志が吸い込まれていくような錯覚さえ覚えるほどに。
各作品はそのまま販売もされていて、沙村さんの鉛筆画がだいたい10〜20万円、森さんの人形が15〜25万円といった値段帯。画廊の人とおしゃべりしてたら、意外と20代30代の若い人がけっこう買っていくらしく。初日に購入目当てで来る人も多いとのことで半分くらいはもう売れちゃってました。
沙村広明さんの直筆鉛筆画は一生に一枚くらいは欲しいかも。
方向性はちょっと変わりますが、来月はまた銀座の別の画廊で久しぶりにトレヴァー・ブラウンさんの個展も。
http://www.span-art.co.jp/exibition/201204trevor/index.html
思い起こせばこの画廊、大学に入ってこっちに出てきた直後に俺が初めてトレヴァー・ブラウンさんの生の作品に触れた場所。けっこう感慨深いものもあり楽しみにしてます。
*1:沙村さんは今回は「漫画家」というよりむしろ「責め絵師」としての役割ですが。