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グロースをデザインするひと

ダンス三昧

ただし観る専門ですが。
ここ2、3週間、ダンスの公演を観る機会が多かったため簡単な感想とともにまとめ。

ダンス花 Vol.11 『らんぶる』 6/26 @神楽坂セッションハウス

昔の記事でも紹介した井田亜彩実さんに誘われて。前回はソロ作品でしたが今回は男性とのデュオで。
作品自体で言うと作品のコンセプト的にも前回のソロの方が尖ってて好きだけど、今作の方がより「踊っ」てたんでそれはそれで良かったかなと。身体の使い方がやはり非常に好み。


同じく筑波大のダンス部出身の黒田なつこさんも作品を出してましたがそちらも良い作品でした。ひいき目なしに観て今回の公演で一番良い作品だったんじゃないかと。
印象としては◯。きれいに調和がとれた作品。これまた同じく筑波大出身の田村香織さんが担当された衣装も作品の方向性とマッチしてて良かったです。(というより、田村さんの衣装は毎回「衣装ありきでこの作品作ったんじゃ…」と思わせられる。。)


樋口素子バレエスタジオ発表会 7/4 文京シビックホール

セッションハウスの公演のときにたまたま、ここのダンススタジオの金海怜香さんにお会いして誘われて。金海さんとは前々から何度かお話はしたことあるけど、そういえばほとんど踊っている姿を観たことが無かったのでこの機会に観に行くことにしました。
プログラムは三部構成で第一部第二部は「コッペリア」「海賊」「ライモンダ」を中心にその他パドドゥやらヴァリエーションやら、第三部は「Stars and Stripes」を。前週とはうってかわって完全にバレエの世界。


個人的に印象に残っているのは、金海さんの「海賊」のパドドゥと、その妹さんの「コッペリア」のパドドゥ。
「海賊」は金海さんのスキルが高いのはもちろんのこと、非常に楽しそうに開放的に踊る姿が作品の性格とマッチしてて良かったです(後から聞いたら本人も「海辺で楽しんでる感じをイメージ」したとのこと。)
コッペリア」は前にWikipediaであらすじ読んでからずっと気になってた作品だけど、まだ観たことなかったこともあり。けっこう期待してたのに期待以上のもので嬉しかったです。一度どこかでフルで観てみたい。元ネタのホフマンの『砂男』も早いとこ読んでみたい。


あと第三部の「Stars and Stripes」も見ものでした。とにかく派手。アメリカ万歳。
「教室の発表会」という性質のため、ちみっこたち(小学生入る前くらいの子もいたり)の演技もあるんですが、要所要所で大人のダンサーさんがちゃんと引き締めてくれるので普通にショーとしてもレベルが高い公演だったと思います。
ついでに言うと金海姉妹がちみっこを叱りつけるマイム(と言って良いのかな?)が可愛らしすぎて胸キュンです。


大駱駝艦『白鳥湖』 7/10 @壺中天

昔から気になってた大駱駝艦の公演に初めて行ってきました。前週とはまたうってかわっていわゆる「暗黒舞踏」の本流。


初めあたりの湖の底を表現したと思われるシーンでの群舞の重厚感と後半の不具のオデット(で良いのかあれ…)の振りが特に印象に残ってます。


非常に「肉々しい身体」を見せつけられているのに、それが日常の生活で感じる身体とはかけ離れた「非肉体的な身体」に感じられました。まるで「魂が宿り意識をもった肉体」ではなく「彼/彼女らが表現したいイメージが皮膚をまとい形をもったもの」のように思えました。
よく分からないで言いますが、暗黒舞踏の開祖である土方巽の「舞踏とは命がけで突っ立った死体だ」の解釈の一つがこれなのかな、と。


東野祥子『UNTITLED RITUALS NO.1 - NO.5』 7/10 @リトルモア地下

去年の『---MESs---メス---』に引き続きリトルモア地下でのカジワラトシオさんとの合作。
あいかわらずラディカル。しかし冬にシアタートラムに観に行ったソロの『VACUUM ZONE』とはまた全然違った印象の作品。


正直に言うと、今までの東野祥子作品の中でもずば抜けて感想が書きづらい作品。自分の日本語力がたりないだけかも知れませんが。
決して面白くなかったわけではなくむしろ「あー、もしかして東野祥子さんは自分が一番好きなダンサーさんじゃなくて、もっと枠を広げて一番好きなアーティストかもしれない」とか思っちゃったくらいこれまた個人的にヒットした作品だったのに。
「何を見た?」と聞かれて「東野祥子さんを見た」としか言えない自分がもどかしい。
まあ、そのくらい舞台上の東野さん自身とその振りと、音楽と照明と舞台美術の一体感は凄かったです。舞台空間(&時間)が全て東野祥子さんになっていました。


追記
お風呂に浸かりながら思ったけどそういやタイトルがそもそも「無題」だ。


おまけ

最近こんな本も読みました。

未来のダンスを開発する (ブレインズ叢書)

未来のダンスを開発する (ブレインズ叢書)

サブライトルは「フィジカル・アート・セオリー入門」。
「イリュージョン/プロセス」「タスク」「ゲーム」「死体」「観客」をキーワードにした現代ダンス論。


作品を観る/作る際の視点の一つとしては非常に参考になったけど、タイトルに比べるとあまりにも扱う内容が局所的すぎた感があります。
「踊らされる身体」という視点からダンスを考えたい場合にはオススメかと。