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グロースをデザインするひと

『医学と芸術展』

会社の先輩に招待券をいただき、森美術館でやっている『医学と芸術展』に行ってきました。
MORI ART MUSEUM [医学と芸術展]

内容は、

  • 第一部 身体の発見
  • 第二部 病と死との戦い
  • 第三部 永遠の生と愛に向かって

という感じ。


第一部は解剖図を中心としたコンテンツ。解剖図のほかにも象牙造りの解剖模型も。女性はなぜか全部妊婦。
西洋のものだけでなくアジアや日本の昔の解剖図もあったのが面白かったです。
途中、「痛み」や「主体・客体」をテーマとした謎の映像作品も。



第二部は昔の医学書や医療道具の類の展示+生死をテーマにした現代芸術の展示。
個人的にはここがメイン。行く前にFlickr森美術館ページで確認していたこの車椅子を生で見れて感激。すごい質感。ライクアSilent Hill
ちなみに写真の右の檻っぽいのは電気療法機。メスマーの動物磁気説とかがまだ生きていた時代の遺物。映画『Return to Oz』で、オズの話をしたドロシーが狂人扱いされ精神病院送りにされた(笑)ときに使われかけたアレと同類。


あとは義手義足の類も。第一次世界大戦中に物資が足りなくて墜落した飛行機の部品で作った義足をはじめとして驚かさせるものはいくらかあったのですが、自分が一番心惹かれたのは16歳の少女のための義手。他の無骨な義手と違って全く無骨さを感じさせない作り。腕の部分は革でしっとりと、手の部分は木でなめらかに精巧に作られ、手の内側の目立たない部分に物などを引っ掛ける用金属製のフックを組み込んであるというとても考えて作られてあるもの。作った人の思いと物語を感じさせます。


現代芸術ではやなぎみわ『elevatorgirl』とかの人)の『the three fates』がお気に入り。あとは大量のピルを縫い込んだウェディングドレスなんかも皮肉が効いてました。



第三部はなぜか唐突に出てきた「愛」というテーマとともに遺伝とか脳とか骨相学とかクローンとか、正直ごちゃまぜな内容w
アメリカンコミックのヒーローたちが年相応に普通に老いた姿を描いた『老人ホーム』には笑わせていただきました。ハルク酷ぇよと。


今回の展覧会で一番のお気に入りは上で紹介した16歳の少女の義手なんですが、二番目の作品はこの第三部にあった『組織培養&アート・プロジェクト ヴィクティムレスレザー:テクノサイエンス的「身体」で育てられた縫い目のないジャケットのプロトタイプ』。フラスコの中でヒトとマウスの細胞が培養されて小さなジャケットを形作っている、というバイオアート。これでもうジャケットを作るのに動物を殺さなくて良いよね♪みたいな。
内容も内容でさることながら、実は今回この作品を観れてはおらず。なぜなら行ったときにこの作品は撤去されててそこには「培養途中で細胞が異常をしめしたので一時別の場所で保管しています」という旨の注意書きが。
なんだこれは。美術館で観る注意書きじゃないぞ、と。
むしろこの注意書き自体がこの作品なんじゃないかと本気で考えかけたくらいショッキングでした。「生命」と「芸術」という今回の展覧会のテーマを一番味わえたのが図らずもこの作品。本当にショッキング。



というところで、もちろん全てを紹介したわけじゃないですがかなりのコンテンツ量で。結局2時間以上、中で楽しんでました。大満足。展覧会カタログまで買っちまったぜ。
展覧会自体とは関係ないけど森美術館けっこう良いですね。初めて行ったけど夜遅くまで(22痔まで)やってるってところが非常に助かります。


まだまだ長いこと(2月末まで)やってるらしいんで興味があるひとはぜひ行くと良いと思います。
創作やってるひとなんて特に。どんなものを創ろうとしても「生死」や「身体」はどこかしらで必ず引っかかってくる問題でしょうし。ダンサーさんなんて特にダイレクトに関わりますしね。良い刺激になるかと。