it's an endless world.

グロースをデザインするひと

データ分析の教科書としての『ネットは社会を分断しない』

Twitterかなにかでみかけて気になって買ってしまったこの本。

ネットは社会を分断しない (角川新書)

ネットは社会を分断しない (角川新書)

先ほど読了しましたが、なかなかに良い本でした。


内容もさることながら、全体の章構成も含めて論の立て方が非常に優れてるなと。
10万人規模のアンケート調査のデータを基に一つ一つの論を進めていく中で、そのデータの活用の仕方が上手い上手い。

データを分析していく中でこれオレがよく仕事で口を酸っぱくして言ってるやつだ!的なものがけっこうあり、これはそのまま教科書として使えるんじゃないかと思ってこの記事を書いています。

本書の趣旨とは違いますが、話を進めていく中でこんな↓感じのことをやっているので、データを基にしてサービスを改善したいと考えている人には参考になるのではと思います。

相関ではなく因果関係を探る

あるグループとあるグループに相関が見られたからと言って、そこにすぐさま因果関係を認めるのは良くないよ、というよくあるお話。

オレが一番好きな話として「交通事故注意の看板が多いところで、交通事故が多いというデータが得られた。よし、交通事故注意の看板を撤去しよう!」みたいなやつ。
ちょっと考えればおかしいことはわかるのに、ビジネスの場で本当にこのレベルの思考で機能を追加したり施策を打つ人がけっこういるのでみなさん注意しましょうね。


とはいえ、相関があるかないかはエクセルとかでもパパっと調べられるんだけど、因果関係があるかをデータで見ようとするのはけっこう大変。
この本の中でも用いられている「差の差分析」も含めて、そのあたりを詳しく説明した名著があるので合わせてオススメしておきます。

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

この本、読んだ直後に感想ブログ書いてなかったのがめちゃくちゃ悔やまれるレベルで良い本ですぜ。

セグメントに分けて分析する

これもよくあるお話。

例えば、ウェブサイトのデータを分析していて「ユーザ全体のセッションあたりのページ数の平均はnでした!」と言われてもそこから何をどうすれば良いのかは難しいところ。

これに対し「シングルセッションユーザとマルチセッションユーザの値を比較したらこうでした!」「ランディングページがトップページのユーザとランディングページが記事ページのユーザを比較したらこうでした!」みたいな情報が出てくればそこから課題を考察することも可能。

オレのGoogle Analyticsアカウントはだいたいは自分で作りまくったセグメントでいっぱいになっている。
(あそこのUIもっと改善してほしい……)


ちなみに、セグメントと言うとこれまた最近読んだこの本が面白かったのでオススメ。

たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS)

たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS)

この本の趣旨は「定量データなんか意味ねぇよ」というものではなく「定量データを基にユーザをセグメントに分けて、各セグメントへのインサイトをN1分析で見つけ出そう」というものであり、セグメントの分け方が上手いなと。

平均ではなく分布を見る

前にブログに書いたやつー。

migi.hatenablog.com

以上。

おまけ

なんか違う本の紹介ばっかりになっている気もするが、最近読んだこちらの本も良かったのでセットでオススメしておこう。

データ解析についての本だけど、解析手法についての本ではなく、もっと重要な「なにを解析するのか」「なんのために解析をするのか」について書かれた本。
個人的にも、統計やらPythonの知識より、こちらのほうが大事だと思っている。