FF7 REMAKEの分割商法に思うこと
つい先日、プレイ映像が公開されたリメイク版の『FINAL FANTASY VII』(以下、FF7R)。
FINAL FANTASY VII REMAKE for PSX_JP - YouTube
私も含めてかなり多くの人たちが盛り上がっていましたが、今日になってその盛り上がりに水を差すかのようにこんなニュースが。
はじめに結論を言っておくと、私はこの分割商法には大賛成です。
大型タイトルの限界
私がそう考える根本には、今年の9月に発売された『メタルギアソリッド5 ファントムペイン』(以下、MGSV)があります。
超大型タイトルで、かなり期待されていたこのゲーム。
ゲーム自体のクオリティは高く発売当初はかなり高評価でしたが、クリアしたユーザが現れてきた頃から徐々にその評価が落ちていった記憶があります。
その理由は「これは未完成のゲームではないのか?」という疑念。
私の印象でも確かに、MGSVは尻切れトンボ感が強い、中途半端な作品でした。
もちろんそれは「小島監督の演出だった」という意味づけもできますが、監督まわりのゴタゴタも考えるとやはり「中途半端な状態で出さざるをえなかった作品」というのが真相な気がします。
以降、この前提で話を進めます。
この「中途半端な状態で出さざるをえなかった」理由は「開発費の高騰」にほかならないでしょう。
コンシューマゲームの価格は、一般的に5,000円〜10,000円以内には抑えられています。
例えば、MGS5を小島監督の気がすむまで作らせてその上乗せされた開発費をゲームの価格に上乗せしてしまうと、30,000円や40,000円を超えるものになってしまうかもしれません。
それでも購入するというファンはいるとは思いますが、さすがにそこまで高くなると購入しない人が多く出て、結果として売り上げは見込めないでしょう。
逆に、開発期間をさらに伸ばした上で値段をそのままにしてしまうと、どれだけ売ったとしても開発費の回収は難しくなる可能性もあります。
コナミは企業として、これ以上クオリティを上げても(開発期間を延ばしても)最終的な売り上げは伸びないと判断しての結果だと私は考えています。
(コナミを擁護したくは無いですが)
私にとって、MGSVはその価格以上の楽しみは得ることができた作品です。
しかし、小島監督に気がすむまで作らせていたらさらに良いゲームになっていただろうという思いも胸に深く残ります。
この「開発費の高騰」はMGSVに限らず、様々なゲームで問題になっているし、さらになっていくため、他のタイトルでも今後も同じようなことは充分に起こりえます。
解決策は?
こういった、ある種の不幸を避けることができる手段としての「分割商法」があるのではないかと私は考えています。
そう思ったきっかけは、時系列は逆になりますが今年はじめに発売された『バイオハザード リベレーションズ2』(以下、BHR2)。
BHR2は全4章の構成になっており、それをテレビドラマのように毎週配信するという販売形式でした。
はじめに1章だけ購入して一つずつ次の章を購入することも、はじめからシーズンパックを購入して毎週楽しむことも、すべて配信が終わってからコンプリートパックという形で購入することもできるという仕組みで、これには次のようなメリットがあるように思えます。
企業側は「完全に最後まで作り終えていなくてもリリースして開発費を回収する」ことができ、ユーザ側は「完全に最後まで作り終えるのを待たずに早いタイミングでプレイできる」というメリットがあります。
最初にリリースしたものの売り上げを見て、さらに人的リソースをそこに突っ込んだり、逆に減らしたりというリスク管理も可能でしょう。
これを考えると、個人的にはMGSVはぜひ分割商法にして欲しかったという悔しさがあります。
すでに、数年前に分割で発売された(そして、有料体験版と揶揄された)『グロウンドゼロ』もありますが、それと同じように章ごとに分割販売する形であれば、毎回のその売り上げでコナミも開発費を回収しつつ安心して開発を続けられたのではないでしょうか。
BHR2は毎週の配信でしたが、MGSVであればその発売間隔が半年以上空いたとしてもきっと新しい章が発売されるたびに購入して楽しんでいたことでしょう。
まとめ
もちろん、一ユーザとしては「分割商法は嫌だ」「安く一貫したソフトを作れ」という気持ちもあります。
しかし、上記のような現状を考えるとそれだけではゲーム会社にとっては苦痛が大きすぎて開発を行うことが難しくなってしまいます。いくら良いゲームを作ってもそれがお金に変わらなければ次のゲームは作れません。
それは、結局ユーザの不利益に繋がっていくのではないでしょうか?
最近のソシャゲ開発もリスクは大きいですが、それ以上にリスクが大きいのがコンシューマゲーム開発です。
大好きなゲーム業界が縮小していかないためにも、MGSVのような作品をこれ以上増やさないためにも、こういった分割商法をユーザ側で受け入れていくことが必要だと思っています。
そのために、私はFF7Rの分割商法を支持しています。