「PMF」という言葉の空虚さについて
ここ数日でまたPMFについての話題が盛り上がってますね。
(たぶん)それに関連して坪田さんが今日こんなツイートをされていました。
PMFが話題だけど、昔commというチャットサービスを作った時、ノンプロモにも関わらず、リリース後24時間でApp storeの総合ランキングで1位になったんですよ。当時これはコレは来たと思ったよね。
— 坪田 朋 / クラシル (@tsubotax) January 30, 2020
その後、LINEを追い上げるべく勢いつけてガンガンPR打ったわけですよ。それにも関わらずリテンションが維持できず、プロダクトの何処を触ってもサービスに血が通わず、ファネルの最初で離脱していく感じで苦しかった。
— 坪田 朋 / クラシル (@tsubotax) January 30, 2020
これを見て、私がPMFという言葉に思うことをむかしTwitterで軽くつぶやいていたことを思い出し、この機会に記事に残しておこうかと。
前に私がツイートしたのはこんな↓内容。
この時間帯のノリで「PMF」という言葉があまり好きじゃないという話をしておこう。
— みぎ (@migi) November 4, 2019
いろんなところで「PMF」という言葉を聞くけど、個人的にはかなり空虚な言葉だと思っている。
— みぎ (@migi) November 4, 2019
「そのプロダクトがマーケットにフィットしているか」という問いがそもそもちょっとずれてる。
— みぎ (@migi) November 4, 2019
どんなプロダクトも地球上の人間全員にフィットすることはほぼ無いし、同時に(よっぽどのことが無い限り)誰にもフィットしないこともありえない。
たぶんそれはそのプロダクト/サービスの生産コスト・運用コストと比べてという話になるんだろうなと。
— みぎ (@migi) November 4, 2019
つまり、コストが「市場にいる人数×その人たちが落とすお金」というリターンに見合うかどうかという話が本質であって、わざわざPMFみたいな考え方をする必要ねぇな、と。
そのサービスを求める人の数が少なくてもその人たちが大量のお金を落としてくれるようなサービスであればある程度のコストにも見合うだろうし。
— みぎ (@migi) November 4, 2019
サービスを求める人が少なくてお金もほぼ落とさない状態でも、コストが充分に低ければそれはプロダクトがマーケットにフィットしてると言えるだろうし。
つまりPMFとか言ってないで、
— みぎ (@migi) November 4, 2019
(1) 生産コスト・運用コストを把握する
(2) 現状のユーザの継続率を見つつLTVを計算する
(3) ターゲットユーザ数に(2)を掛け算して期待する売上を考える(もちろん獲得コストも考慮しつつ)
(4) 1と3を見比べる
ってのをやっとけば良いんじゃないんですかね。
以上。
言いたいことはほぼほぼこれで以上なんですが、軽く補足を。
自分で仕事のなかで使うこともありますがアンケート手法はあまり好きではなく。
Sean Ellis's TestとかNPSも含めて。
去年読んだこの本の影響も多分にありますけどね。
migi.hatenablog.com
「だれにそのアンケートを答えてもらうか?」などのアンケート手法の信頼性の話の前に、人間なんて言うこととやることがチグハグという印象が強く。
結局のところ信じられるのはその人の行動だな、と。
とはいえ、一時的に人が熱狂的な行動をすることもよくあります。
冒頭に出した坪田さんの例もそれですが「Appストアで1位になった」「めちゃくちゃバズった」「○ヶ月で月商○億超えた」みたいなものをPMFの指標として見てしまうのは恐いと思います。
じゃあ何を見るのかというと、個人的に信じられるのはやはり継続率ですね。
自分が飽き性なせいか「人が何かを続ける」ということはかなり大変なことだなと考えておりまして。
「そのサービスがユーザにとって良いサービスなのか」を示す指標としてはやっぱり継続率がベストだと思っています。
そういえば、大昔にこんな↓記事も書いていました。
もちろん元記事にも書いてあるとおり、継続率を計測するのはサービスによっては大変かもしれません。
(月額課金のBtoBツール系サービスならなおさら)
1.先行指標(Sean Ellis's test "このプロダクトが明日なくなったら困るか?"、NPS、口コミ等)や、2.プロダクト事に異なるエンゲージメント(MAU、ライド数、決済数等)、3.リテンションの3つでPMFをはかります。3→1の順に重要ですが、1→3の順に数値が早く計測できます。
PMF(プロダクトマーケットフィット)の大切さと実例、はかり方、見つけ方: 基礎編|原健一郎 | Kenichiro Hara|note
とはいえ私がふだん仕事をしている中で、ここで言う3を重要視せずに1や2だけを見て大喜びしている人たちが多いような印象も受けます。
という人たちへの警鐘としてこの記事を書きました。
「PMF」を冀求する前にそれがいったい何なのかを改めて考え直してみると良いかと。