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it's an endless world.

グロースをデザインするひと

ソーシャルアプリについてちょっと考えてみた。

web review

一昨年あたりにスマートフォン持ち始めてから「いかにケータイの月額を減らすか」が大事になってケータイでほとんどネットをしなくなったオレ。その流れでGREEやらモバゲーやらのケータイSNSも全くやらなくなってしまっていました。
「若いコたちのコミュニケーションを研究のテーマにしてますよー」なんてことを言いつつ、ビジネス的にも研究的にもけっこう大きな意味を持ちはじめているその辺のソーシャルアプリの現状について全くわかってないのは良くないなと少し危機感を感じたこともあってちょっと真面目に考えてみました。


そもそもプレイ自体ほとんどできてなかったのでまずプレイするところから。
やってみたのはどうやらめちゃくちゃ流行ってるらしい「怪盗ロワイヤル」と「海賊トレジャー」onモバゲー。
モバゲーの垢は奇跡的にもってましたw昔なんかやってたっぽいww



試しに数日やってみて、自分が感じた「流行った理由」を簡単にまとめ。

  • 内部要因(ゲーム)
    1. コレクション性
      • 両ゲームとも、「お宝」を集めていくのがストーリーを進めていくのと同じレベルで大事になってくる。
      • 集めたお宝にはそれぞれキャプション(というかショートストーリー)がついており、それを読むだけでもちょっと面白い。
    2. シンプルなゲーム性
      • 怪盗ロワイヤル→手下の編成と采配がほぼ全て。シンプル。で、奥深い。
      • 海賊トレジャー→昔ながらのワンクリックゲー。シンプル。で、奥深い。
    3. クエスト
      • 大上段の目的があってそれに向かって進めていくのではなく、オンラインゲーにありがちな(最近は非オンラインゲーでも多いけど)ちょっとしたミッション(目的)を少しずつこなしつつやっていくタイプの進め方。
    4. 定期的なイベント
      • 期間限定のクエスト・ミッションをけっこう頻繁にやってるっぽ。
    5. チュートリアル
      • チュートリアルがしっかりしているのでマニュアルなしでもスタートできてかなりとっつき易い。
      • はじめからあれもこれもできるのではなく、進行度によってできることが増えていくのもわかりやすい。
    6. 短時間でもできる
      • 1プレイ数分でも充分楽しめる。ケータイなので立ち上げ時間なども気にせず済むし。
    7. 長時間でもできる
      • ゲーム内で何かしらアクションするためには「手下数/航海エネ」を消費する必要がある(=消費し尽くすと何もアクションできない)。回復にはリアルの時間を要する。◯分で◯人/ポイント回復、みたいな。
      • そのため延々とプレイしてるわけにはいけない、と見せかけて回復スピードはけっこう早いのでながらでけっこうだらだらと長時間プレイ可能。
  • 内部要因(コミュニケーション)
    1. 仲間
      • 他ユーザを「仲間」にすることでゲームを有利に進めることが可能。
    2. 低い関与レベルでの繋がり
      • 怪盗ロワイヤルでは「ウィンク」、海賊トレジャーでは「船磨き」という機能が実装されている。
      • 「仲間」になるには双方の承認が必要などちょっとコミュニケーションにおける敷居が高いが、これらは一方的に相手に関与することが可能。
      • 詳細は後述。
    3. 他ユーザの動きの可視化
      • 自分の仲間の動きがマイページから確認しやすいように作られている。
    4. ランキング
      • 有名になるのはうれしいことです。
    5. 友達紹介
      • 友達を誘うと◯◯ポイントプレゼント!
      • よくある方法ですがこれはかなり効きますよね。。
  • 外部要因
    1. テレビCM
      • なんだかんだでやっぱりマスメディアは強い。
      • しかしそれだけじゃアクティブユーザ数はキープ出来ないからあくまで要因の一つかとは思うけど。
    2. プラットフォーム
      • モバゲーという既に人がいっぱい居るところの上でプレイヤーを集められるのは、ゼロから会員を集めるのに比べて格段に楽でしょう。
    3. パケ放題
      • 今更言うことでも無いですが、これ系のゲームは基本通信しっぱなになるのでパケ放題があればこそできることかな、と。

上記のような条件がしっかり揃っていたからこそメジャーになれたのかなと思います。



この15個あげた中でも、個人的に特に注目したいのは「短時間/長時間でもできる」という部分と「低い関与レベルでの繋がり」という部分。



「短時間でもできる」上に「長時間でもできる」という件については、前回の文化系トークラジオLifeの外伝2および2010年3月15日号の宣伝会議のモバイルマーケティング大特集濱野智史が言っていた「暇つぶしの変化」の話に全くマッチしています。
濱野さんの言葉を乱暴に要約すると

  • 現代の若者の暇つぶしは4パターンに分かれる
    • エンドレスなヒマ(=目的もなくただぶらぶらとしてる暇。帰宅して食事してあとは寝るだけの時間など)
    • 待機型ヒマ(=電車や人待ちの短い時間のヒマ)
    • みんなで共有型のヒマ(=特に目的もなく友人とまったり時間をすごしている)
    • 強制没入型ヒマ(=授業中など退屈すぎるときに外界をシャットアウトして没入)
  • 若者がケータイを使うのは外出先で何か情報を得たいから、みたいな目的ドリブンな理由ではない。
    • 根拠についてはここでは割愛。
    • ちなみに「外だから」ケータイを使うということは案外少なく「外:内」のモバイルサイト利用率は「3:7」とのこと。
  • 目的ドリブンではなく暇ドリブンというのがユーザの利用実態。
    • ×検索ニーズを抱く(目的)→検索をする(手段)、◯暇になる→とりあえずケータイ開く→情報を摂取する。
    • 日常生活に散らばる無数の「暇」をケータイを用いて効率的に潰す。
  • したがって、上記4パターンの暇に上手くはまるように設計されている(短時間でサクっと使えるかつ時間さえあればずっと使える)ことが若者向けのサービスが成功を収める要因。

ということでした。
私自身ゲーム大好き人間なんですが「なぜゲームするのか?」という問いの答えは「暇つぶし」と思っていて、じゃあいかに有意義に/楽しくその「暇つぶし」をさせるのか、を考えるのはサービスを作る上で非常に重要な要素だと考えています。その上で濱野さんの言うような形で若者の日常生活に非常にマッチした作りをしているこの二つのゲームは楽しまれているのかと思います。



次の「低い関与レベルでの繋がり」については「なぜmixi疲れは起きるのか」や「なぜtwitterは心地よいか」などと同じレベルの話と考えています。
つまり「相手の承認を必要とするような重たいコミュニケーションだと結局リアルでのコミュニケーションと同じような問題/葛藤を孕む。」ことに対する解決策としての軽い繋がり方というお話。
ゲーム上で、ネット上の知らない人にウィンクする、船を磨いてあげる、あるいは某牧場みたいに水をやったり虫を入れたりするみたいなアクションは本当に気楽に他人に対しアクションできる上に、でも不思議なものでそれだけでも人間はちょっとだけでも「他者と繋がっている感」を得ることができるという面白い現象だと思っています。


実はこの点がこれからのソーシャルアプリ、もっといえばこれからの若者のコミュニケーションを考えていくうえで大きなヒントになるのではないかと個人的には考えている次第で。


「リアルで学校でいじめられている子がいたとして、その子にウェブ上に彼氏(モバ彼)がいれば、そこで他者との繋がりを感じられて自殺しなくても良いかもじゃん!」とオレが言ってるのを聞いたことある人は多いかも知れませんが、最近は「でも結局リアルでのコミュニケーションもウェブでのコミュニケーションもほとんど変わらなくなるし、ウェブ上でも(モバ彼とも)リアルでのコミュニケーションと同じような問題/葛藤を生むんじゃね?」とも思い始めています。ネトゲやっててもギルド内でオフ会やったり仕事の悩みの話になったりとかもそう。
場所はバーチャルだけど、そこでの繋がり方が結局リアルと同じだからそりゃコミュニケーションもリアルと同じものになるよね、と。
別にそれが良い悪いと言っているわけではないですが、ちょっと考えているのは「ソーシャルアプリ上などの『ネタ』をかますことでリアルな『ベタ』なコミュニケーションが持つ問題/葛藤を回避できないか」ということです。
マイミク/仲間になるのは断られたら怖いしなったとしてその後繋がり続けるのは大変だし嫌だ、ということのカウンターとして、船を磨く/作物に水をやるみたいなことは簡単に相手と繋がれるし逆にそれしてもらうとそれだけでなんかちょっと嬉しいしという感情。思えば、二つのゲームともに『ベタ』なコミュニケーションは非常にしにくく、『ネタ』でしか繋がれないような設計をされています(ゲーム内で他ユーザとの複雑なコミュニケーションは無理。オフ会なんかもたしかモバゲー自体で禁止されてる。)。
リアルな場所で抱えている問題を解決することはできないけど怪盗仲間、海賊仲間と同じゲームをプレイすることで、それで少しでも繋がれている感が得られれるのであれば(唐突ですがマズローの欲求段階説の第三段階を満たせるのであれば)、それは素晴らしいことなんじゃないかと思います。
それが極端に発展して行って、バーチャル上の『ネタ』でのコミュニケーションをリアルにレイヤーさせてそこで生活するようになると、まさにSFが読みたい!2010年版第三位の『バレエ・メカニック』*1になっちゃうわけですが。それもまた良し。


「ウェブを使っていかに繋がっている感を得るか」「いかにmixi疲れ的なものを無くすか」ということを実現する上でこの「低い関与レベルでの繋がり」を実現する仕組みについてはこれからもっと考えていきたいと思います。





ということで、これまでほとんどソーシャルアプリに触れてなかった上に数日しか触っていない身でこんなにつらつらと書きまくってて申し訳ないです。
プレイしまくっている人からするとツッコミどころ満載の文章になっているかも知れませんが、それはそれでコメントいただければ幸いです ノシ

*1:

バレエ・メカニック (想像力の文学)

バレエ・メカニック (想像力の文学)