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グロースをデザインするひと

筑波大学芸術研究科修了制作展

学群生(学部生)の前期展後期展に引き続き行ってきました院生の修了展。


あたり前っちゃあたり前だけど、学群生の作品に比べてグッとくる作品が多かった気がします。
表現技法もさることながら表現内容も深化してる印象。



様々な分野の作品があったけど、やっぱり自分が強く惹かれたのは油彩と総合造形だったかな。


油彩は陰鬱とした作品が多く、まさにオレ好みな感じで。
その中でも特に気に入ったのは、なんかの賞をもらっていた『good morning』と小林泰三っぽい『無題』。前者が賞をもらってたのは観て納得。でも後者の方が好きかな。


総合造形では『いくらアケイディア』という作品がかなりツボ。オレの頭の中で一瞬の迷いも無く「作者は病気」タグが付けられました。
なんか、日常生活の身の回りにあるものになぜかイクラが溢れてる、という作品。パッと見で「これ作ったヤツはどんだけイクラが好きなんだ?」と思ったけどしばらく眺めてるうちにそのあまりのイクラっぷりに恐怖感を感じ、「もしかして作者はイクラが大嫌いなんじゃないか?」とか思わせられた。
機械仕掛けで、椅子を天井近くまで持ち上げては床に叩き付ける、ということを繰り返し行う作品『神に愛された国:God loves you』も好き。この装置プラスに壁に複数枚かけられた黒い縦線の入ったボードで、現代日本の「(特にネット上での)個人の在り方とその繋がり」を表現しているそうで。テーマがまんまオレのライフワーク関連ってのもあるんだろうけど、改めて自分の「なにかしら椅子を使った作品」の好きっぷりを再確認。


同い年のパフォーマーさんの『闇面盤遊』もちゃんと観てきました。立体造形作品+本人のパフォーマンス。
2年前の卒展でも同じ形式でやってて、それをずっと観てたオレですが今回もじっくり堪能。相変わらず良い身体&良い動きをしています。
オーディエンスに理解を求めないその姿勢に「自由さ」よりもむしろ自らに対する「ストイックさ」を感じさせるのがスゴイと思う。


その他にも素晴らしい作品は盛りだくさんでしたが割愛。
あ、入ってすぐにあった(たぶん)一番大きな賞をもらってるクラフトの『鉄』はさすがに圧巻でした。



毎年思うのが、全日程通して「プロと何が違うの?」と思わせられるような良い作品はいっぱいあるのに受賞作品しか買い取ってもらえないというのがもったいない。それ以外の作品は学校にも置いておけず破棄or自宅にお持ち帰りって言うし。
自分ちの部屋の広さが充分であれば(かつ支払えるお金があれば...)本気で買い取りたいと思うんだけど。
もっとなんか芸術見本市とかオークションみたいな感じにしたりできないのかな、と。受賞作品にしても学校買い取りの値段以上にお金を出しても自分が欲しいとか言う人がいるかも知れないだろうし。市場価値が重要なんだと言うことではなく、もっと評価されても良いんじゃないかな。


と、内部事情も何も知らずに勝手なことを言ってみる。



あ、あと図録が欲しい。図録。
作品買うお金は無いけど図録だったら今でも絶対に買うのになー。