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グロースをデザインするひと

サシャ・ヴァルツ&ゲスツ 『Koerper ケルパー(身体)』

今日は2ヶ月くらい前からずっと楽しみにしていたダンスの公演を観て来ました。
彩の国さいたま芸術劇場

サシャ・ヴァルツ&ゲスツ 『Körper ケルパー(身体)』

sasha waltz


作品自体の詳細は上のリンク先を見ていただければわかるとは思いますが、テーマとしてはタイトルの通り「身体」。
ダンスと身体(或いは身体性)は切っても切りはずせない関係であり、その「身体」をテーマにしたこの作品。

『Körper』『S』『noBody』と続く「身体三部作」の第一作とのことです。

上のリンク先でデモムービーも観れますお。
ぜひ。


この方、ポスト・ピナ・バウシュと言われているらしく。
「現代のヨーロッパのダンサーでピナ・バウシュの影響を受けていないものはいない」と言われるほど偉大なダンサーさんがいるのですが、その次を担うと期待されてるみたいです。

作品を観たオレの率直な感想としては「あれ?ピナ・バウシュってこんなカオスってたっけ?」って感じの超カオス 笑
超オレ好み。

上のは半分冗談としても、作品自体がもっているテーマであるとか演出とかで、観ていてかなり心を動かされました。


観ていて思い出したのは、平山先生のダンスのレッスンを一番最初に受けたときの「自分の身体とは自分の持ち物なのか?それとも自分自身なのか?」という問い。

これは身体論の授業でもよく言われる話ですが「自分の持ち物」と言っちゃうとなんか違う気がするし、「自分自身」と言っちゃうと「じゃあ美容整形手術や移植手術をしたり、もしくは事故で手足を失って義手義足にすると自分の存在が変わってしまうのか」というとそうでもないだろうし。

あとは、自分の身体を分解していったのちの自分のDNA、そこから生まれたクローンは自分の身体とどういう関係を持つのか、など。


そんな「身体の本質」を考えさせる作品でした。


アフタートークも聴いてきました。
その中で印象的だったのが、振付のサシャさんが作品中に出てくる、手といいながら足を指したり目と言いながら胸を指すシーンと(2人が組んで1人がうまく隠れて)脚が前後逆になってでてくるシーンについて「Wrong Body」と同時に「Perfect Body」と言っていたことです。

「間違った身体」が「完璧な身体」か。
「完璧な身体とは何か?」なんて考えたことほとんど無かったけど、確かに見た目が整っているという意味での完璧さでは、上で語ったようなものも含め「完璧な身体」とは言えない気がする。それで幸せか?と聞かれればそうじゃない気がする。


また、出演者が裸で出てくるシーンが多くあったことに対し「人間が何か一つでも、たとえそれが時計のようなものでも身体に身に付けていれば、そこからその人の身体周辺の背景を想像してしまう。それを避けるためには何一つ身に付けていない裸の身体でなければならない」と答えられていました。

まんま裸は出ていたもののテーマが身体そのものの本質について深く掘り下げた作品なので全くもって性的な感じはせず。

ただ、『S』ではセクシュアリティ/ジェンダーと身体のテーマも扱っているらしく、また違った意味合いで出演者が裸で出てくるとのこと。
気になる気になる。



ちなみにアフタートークで振付のサシャさんと芸術監督の方が夫婦だと判明。
クリエイター夫婦か。
大変そ。

途中で袖から「ままー!ままー!」と叫び声が。
お2人のお子さんが泣きながら登場。
アフタートーク中なのに、泣き止ますためにサシャさん一時退場 笑
ちっちゃいのカワユス。



良いダンスの公演を観るとダンス欲が高まるんですが、今回の公演はダンス欲だけではなく研究欲まで高まりました。
観に行って良かった良かった。
チケット以上の価値は充分に有りました。
1万円以上出してても悔いは無いかなレベル。
素晴らしい。




livedoorブログ、タイトルでウムラウト出ねぇ( `д´) ケッ!